クールな氷の王子は無自覚地味子を独占したい

小さくそう呟くと、葵とゆいは「ええーーっ!?」と声を揃えて目を丸くした。

「あの氷室くんが他人に気を遣ったの……!?」

「奇跡じゃん! 氷室くんの氷、もうちょっと溶けかけてるんじゃない!?」

そんな会話で盛り上がっていると、廊下側が急にキャーキャーと騒がしくなった。

「キャーッ、氷室くん登校してきたよ!」

「やっぱり近くで見るとかっこよすぎる……!」

他クラスや隣の学年の女子たちが、わざわざ氷室くんを一目見ようと廊下に集まってきていたのだ。
その中心を、カバンを片手に下げた氷室冴くんが歩いてくる。

「あのっ、氷室くん! これ、よかったら連絡先……!」

勇気を出した他クラスの女子が手紙を渡そうと駆け寄ったけれど、冴くんは足を止め止めることすらしない。

「邪魔。どいて」

氷のように冷たい一言でピシャリと一蹴。
取り付く島もない素っ気なさなのに、女子たちは「冷たい声も素敵……!」と逆にうっとりしている。

圧倒的な高嶺の花。誰も近づけない完璧な『氷の王子様』。