クールな氷の王子は無自覚地味子を独占したい

翌朝、ガラッと教室のドアを開けた瞬間――。

「あ! 緋奈来たー!」
「緋奈おはよう! ちょっとちょっと、昨日の打ち合わせどうだった!?」

席に着く間もなく、葵とゆいが猛ダッシュで私のデスクに詰め寄ってきた。
周りのクラスメイトたちも、「例の件」の顛末が気になっているのか、さりげなく耳を澄ませているのがわかる。

「おはよう二人とも!打ち合わせは普通に書類まとめて終わったよ?」

「えーっ、本当にそれだけ!? あの氷室くんと二人きりだったんでしょ? なんか冷たく怒られたりしなかった!?」

葵が心配そうに眉を八の字にして顔を覗き込んできた。

『バカ』とは言われたけど……

昨日、転びそうになった私を抱きとめてくれた感触や、去り際の「気を付けて帰れよ」という低い声を思い出して、急に顔が熱くなってくる。

「……ん? 緋奈、なんでちょっと顔赤くなってるの?」

「えっ!? あ、赤くないよ! 朝から暑いからかな……!」

慌てて両手で頬を押さえる私を、ゆいがジーッと怪しむような目で見つめてきた。

「怪しい〜! 絶対なんかあったでしょ! 氷室くん、実は二人きりだと優しかったりした?」

「だ、だから本当に普通だってば! でもね……口はすごく悪かったけど、グラウンド側の重い方の作業を代わりに引き受けてくれたりして……本当はすごく良い人なのかも」