クールな氷の王子は無自覚地味子を独占したい

無事に職員室へ資料を提出し、無愛想ながらも完璧な提出物に先生も「お、おう……もう終わったのか」と呆気にとられていた。

昇降口へ向かい、自分の靴に履き替える。

「あの、氷室くん! 今日は本当にありがとう。明日からもよろしくね!」

今日一番の勇気を振り絞って笑顔で挨拶をすると、靴を履き終えた氷室くんがスッと立ち上がった。

夕陽を背にして、彼の青みがかった瞳がじっと私を見つめる。

「……別によろしくなんてされなくていい。明日からはもっと要領よくやれ」

相変わらず素っ気ない言葉。
けれど、彼は一瞬だけ私から目を逸らすと、小さくボソッとつぶやいた。

「……気を付けて帰れよ」

「え……?」

聞き間違いかと思ってパッと顔を上げると、氷室くんはすでに背を向けて、長い脚でさっさと校門の方へ歩き出していた。

……今、『気を付けて帰れよ』って言ってくれた……よね?

遠ざかっていく背中を見つめながら、私は温かくなった胸をそっと押さえたのだった――。