クールな氷の王子は無自覚地味子を独占したい

「……何突っ立ってんだよ。やらないなら一人で出すぞ」

「や、やる! やります!」

慌てて向かいの椅子に座り、私はペンを握りしめた。

向かい側に座る氷室くんからは、相変わらずミントのような爽やかで冷たい匂いがふわりと漂っている。

真剣な表情で資料を見つめる綺麗な横顔。長くて綺麗な指先が、スラスラと文字を書き進めていく。

……すごく冷たくて怖い人だと思ってたけど、本当はすごく優しい人なのかも……

作業の手を止めてしばらく見とれてしまっていた私は、ハッと我に返った。

ううん、感心してる場合じゃない! 嫌々かもしれないのに、こうして助けてくれてるんだもん……ちゃんと気持ちを伝えなきゃ!

「あ、あの……! 氷室くん!」

「……何」

視線を資料に向けたまま、不機嫌そうに返事をする氷室くん。私はぎゅっとペンを握りしめ、まっすぐに彼を見つめた。

「手伝ってくれて……ほんとにありがとう! 私、すごく助かったよ!」

心の底からの感謝を込めてペコリと頭を下げると、ペンを動かしていた氷室くんの手が、ピタッと止まった。

ほんの一瞬だけ目を見開いた彼は、すぐにフイッとそっぽを向くと、「……別に。さっさと終わらせたいだけだし」と素っ気なくつぶやいた。

……でも、一瞬驚いた顔したかも

夕日が差し込む会議室の中、ほんのり温かくなった胸を押さえながら、私は作業を再開したのだった――。