クールな氷の王子は無自覚地味子を独占したい

オーブンから甘くて香ばしい香りが立ち込め、焼き上がったケーキを取り出す。

「おお……っ! 見た目はすごく美味しそう!」

少し崩れてしまった端っこを切って、三人で毒味……もとい、味見をしてみることにした。

「……ん! 甘さ控えめで濃厚! 冴くん、甘すぎるの得意じゃなさそうだし、これ絶妙じゃない!?」

ゆいが目を輝かせてパチパチと拍手する。

「うん、すごく美味しい! 緋奈、めちゃくちゃ上手だよ!」

ふたりに褒められて、すっと肩の力が抜けた。
不器用なりに一生懸命作ったら、ちゃんと形になってくれたことが嬉しくてたまらない。
「二人のおかげだよ、ありがとう!」

試作は大成功。綺麗にラッピングの練習まで済ませて、私は大事に型紙とレシピを鞄にしまった。

「本当にありがとう……! これなら冴くんに渡せる!!」

「絶対大丈夫! 氷室くん、絶対顔真っ赤にして受け取るからさ」

葵とゆいが顔を見合わせてニシシと笑う。

『冴くん、喜んでくれるかな……』

完成した本番用のチョコを渡す当日のことを想像すると、胸がぎゅっと甘く締め付けられた――。