クールな氷の王子は無自覚地味子を独占したい

「……私、やっぱり手作りがいい」

ぽつりと呟くと、2人が「でしょー!」と嬉しそうに目を細めた。

「下手でも、不格好でも、冴くんのために一生懸命作りましたって気持ちを届けたい……!」

「決まりだね! じゃあ今週末、うちのキッチン使いなよ! 私も一緒にお手伝いしてあげるからさ!」

「葵……ありがとう!」

方針が決まって一安心したものの、私の頭の中は『冴くんのお口に合う甘さってどれくらいだろう?』『チョコ以外にクッキーも添えた方がいいかな?』と、新たな悩みでいっぱいになっていた。

その日の夜、自分の部屋でベッドに入りながらスマホを開くと、冴くんからLINEが届いていた。

『家着いたか? 寒かったろ』

『うん、無事着いたよ! 冴くんも風邪ひかないでね』

そう返信を送ると、すぐに『既読』がついた。
画面の向こうで、まさか私が自分のためにバレンタインチョコの手作り練習を計画しているなんて夢にも思わず、ひとり部屋でソワソワしているかもしれない冴くんを想像して、私は少しだけ胸を躍らせた――。