クールな氷の王子は無自覚地味子を独占したい

耳元に落ちてきた低い声に、私は息を飲んだ。

見上げると、すぐ目の前に氷室くんの顔があった。
青みがかった冷徹な瞳が、呆れたように、でもどこか苛立ちを孕んで私を見下ろしている。

あ、あまりの距離の近さにドッキンと心臓が跳ね上がり、私は思わず半歩後ずさった。

「ひ、氷室くん……?」

「『一人で全部やる』とか『手伝ったことにしとく』とか……お前、自分がどれだけおめでたい頭してるか分かってんの?」

「うっ……」

容赦ない言い草に思わずウッと声が詰まる。

「そんな嘘ついたって先生にすぐバレるし、そもそも……そんな今にも泣きそうな顔して一人で抱え込まれたら、俺が余計に悪者みたいになるだろ」

「な、泣きそうなんて……っ!」

「ほら、貸せ」

「え……?」

言われて固まっている私から、氷室くんはフイッと視線を逸らすと、私が強く抱きしめていたプリント一式をバサッと強引に奪い取った。

「あ、氷室くん……! いいよ、本当に私がやるから――」

「黙って座れ。ウザい」

低く制するような声。
氷室くんは近くのパイプ椅子を引き寄せると、長い脚を組んでドカッと腰かけた。

そして、奪い取った体育祭の資料をパサパサとめくり、眉間にシワを寄せながら目を通し始める。