クールな氷の王子は無自覚地味子を独占したい

2月に入り、街も校内もバレンタインの話題で持ちきりになっていた。

「緋奈、今年のチョコどうするの? 恋人としてあげる初めてのバレンタインでしょ!」

昼休み、お弁当を食べながら葵がニヤニヤと顔を覗き込んできた。
その言葉に、持っていたお箸がピタリと止まる。

「そ、それは……やっぱり、ちゃんとあげたいなって思ってるんだけど……」

「手作り? それとも高級ブランドの市販のやつ?」

「そこなの……! すごく悩んでて……」

私は机に突っ伏した。

手作りは気持ちが伝わるけれど、私のお菓子作りはせいぜいクッキーくらいで、プロみたいに綺麗には作れない。
かといって高級な市販品だと、なんだか味気ない気もするし……。

『冴くん、どっちの方が嬉しいのかな……』

付き合い始めてから、学校では相変わらず「氷室くん」と呼んでしまうこともあるけれど、二人きりの時は意を決して「冴くん」と呼ぶのにも少しずつ慣れてきた