クールな氷の王子は無自覚地味子を独占したい

参道は、あちこちの屋台から香ばしい匂いが漂っていた。
氷室くんは迷いのない足取りでひとつの屋台の前で立ち止まると、「これひとつください」とお金を払う。

手渡されたのは、大きな袋に入ったふわふわのピンク色のわたあめだった。

「ほら、食え」

「えっ……氷室くん、私のために買ってくれたの……?」

「お前、さっきから屋台のわたあめみてただろ」

お見通しだったことに驚きつつ、私は「ありがとう……!」とお礼を言って袋を開けた。

ちぎって口に運ぶと、甘い砂糖の味が口いっぱいに広がる。

「美味しい……! 氷室くんも食べる?」

「ん、うま」

差し出すと、氷室くんは少し背を屈めて、私の手から直接小さくちぎったわたあめを口に含んだ。
その拍子に彼の吐息が手に触れて、胸が跳ね上がる。