クールな氷の王子は無自覚地味子を独占したい

氷室くんはまっすぐ私の方へ歩いてくると、いつものクールな無表情のまま、淡々とした声で言い放った。

「おはよ。今日も可愛いな、緋奈」

「「「………………は?」」」

周囲の空気が一瞬で凍りついた。
隣にいた蓮は「え、冴……? お前頭打った?」と本気で引きつった顔になり、葵たちも開いた口が塞がらない様子で固まっている。

当の私はというと、急に真顔で放たれた直球すぎる言葉に、顔が爆発しそうなほど熱くなっていた。

「ひ、氷室くん……!? な、なに言ってるの……っ」

「なにって、思ったこと言っただけだけど」

氷室くんは周りのドン引きした視線など1ミリも気にする様子もなく、すっと私の手首を掴むと、当然のように手を繋いだ。

「な、冴!? お前一ノ瀬さんとそういう感じなの!?サラッと名前呼びにしてるし⋯」

「見りゃ分かるだろ。俺、今緋奈に猛アピール中だから邪魔すんな」

「お、おう……なんか今の冴、マジで怖ぇよ……」

引いている蓮たちを完全にスルーし、氷室くんは繋いだ手にギュッと力を込めて、私だけに聞こえる低い声で囁いた。

「言ったろ、覚悟しろって。……今年もよろしくな、緋奈」

私の波乱に満ちた新年がスタートするのだった――。