クールな氷の王子は無自覚地味子を独占したい

気まずくて苦しい沈黙が、ふたりの間を包み込む。

沈黙に耐えかねた私は、消え入りそうな声でつぶやいた。

「……わかった。氷室くんが嫌なら、私が一人で全部やるよ。先生には……氷室くんも手伝ってくれたって言っておくから」

資料を強く抱きしめ、精いっぱいの強がりでそう笑ってみせる。

氷室くんに嫌な思いをさせてまで、無理に付き合わせちゃダメだよね……

そう思って資料に目を落とし、作業を進めようとしたその時――。

ガタッ、とパイプ椅子が大きく鳴る音がした。

「……はぁ」

頭上から降ってきたのは、今日一番大きくて、どこか苛立ちの混じった深い溜め息。

びっくりして顔を上げると、冴くんが乱暴に髪をかき揚げながら、すぐ目の前に迫っていた。

「……お前、バカなの?」

呆れたような、でも先ほどとはどこか違う、低い声が耳元に届いた――。