クールな氷の王子は無自覚地味子を独占したい

「……っえ!?」

「ひ、氷室くん……!? どうしたの……っ」

「いいから来い」

一度も振り返らず、低い声でそう吐き言うと、氷室くんは周囲の視線も気にせず私の腕を引いて駅前を歩き出した。
追いつけないほどの歩幅に必死でついていき、たどり着いたのは――放課後で誰もいなくなった学校の、夕暮れが差し込む特別教室の影だった。

ガチャリ、とドアが閉まる音が響く。
薄暗い教室の中、壁と氷室くんの体に挟まれる形になり、逃げ場を失った私の鼓動が跳ね上がった。

「あの……氷室くん、怒ってるの……?」

理由が分からず恐る恐る尋ねると、目の前の氷室くんは荒い息を吐きながら、苛立ちを隠そうともせずに髪を乱暴にかき揚げた。

「怒ってねぇよ……いや、怒ってる」

「え……」

「……お前が他の男と喋ってるだけで嫉妬で狂いそう」

「――っ!?」

し、嫉妬!?

あまりにストレートで荒々しい言葉に、息が止まった。
メガネの奥で目を見開く私を、氷室くんは逃がさないように強い眼差しで見つめてくる。

「ほかの男となんて喋らなくていいだろ」

「っ、ひ、氷室く――」

「俺だけを見ろ」

低く掠れた声で繰り出される言葉の熱に、頭が真っ白になる。

「……好きだ、緋奈。ずっと前から、お前が好きだった」