クールな氷の王子は無自覚地味子を独占したい

駅前のカラオケ店に着くと、大人数が入れる広めのパーティールームに通された。
部屋に入るなり、結城くんや葵たちが早速デンモクを奪い合って曲を入れ始める。

「よっしゃ、まずは盛り上がる曲からいこう!」

「私、アニソン歌いたい!」

部屋の明かりが少し落ちて、カラオケ特有の重低音が響き渡る。
ドリンクバーで取ってきたメロンソーダをテーブルに置き、私は葵たちのとなりの席に座って手拍子をした。

部屋の隅のソファでは、氷室くんが肘を突いてスマホを眺めていた。
周りの大騒ぎには一切参加せず、心底興味なさそうに冷めた雰囲気を漂わせている。

でも、結城くんが黙っているはずもなかった。

「はい冴! 次お前の番な!」

「……は?」

楽しそうに数曲歌い終えた蓮が、強引にマイクを氷室くんの手元に押し付けた。
デンモク画面には、少し前の洋楽調のロックナンバーが予約されている。