クールな氷の王子は無自覚地味子を独占したい

「……ここ、解き方これで合ってるかな……?」

私が教科書と睨めっこしながら小声で呟くと、隣の氷室くんがすっと身を乗り出してきた。

「どれだ。……あー、ここマイナス抜けてる。途中の計算、もう一回書いてみろ」

「あ、ホントだ……! ありがとう、氷室くん」

優しいく丁寧に教えてくれる氷室くん。
真剣な横顔があまりにも綺麗で直視できず、私は慌てて手元のノートに視線を落とした。

でも、緊張で手が強張っているせいか、うまくシャーペンが動かない。
すると、それに気づいた氷室くんが、自分の上着のポケットからそっと何かを取り出した。

「……手、かじかんでんのか」

「え……っ?」

氷室くんは私の左手をそっと引き寄せると、ぽかぽかに温まった使い捨てカイロを優しく握らせてくれた。
大きな手の温もりと、カイロの熱がじんわりと伝わってくる。

「……温まるまで持ってろ。風邪引かれたら困る」

そっぽを向きながらボソッと言う氷室くん。
向かい側ではみんな真剣に問題を解いていて、この小さな秘密の温もりは私と氷室くんだけのもの。
かじかんでいた手だけじゃなく、心までぽかぽかに満たされていくのだった――。