クールな氷の王子は無自覚地味子を独占したい

「うわぁ……すごく暖かい……」

氷室くんから借りたカーディガンに袖を通すと、彼の体温がそのまま残っているみたいにぽかぽかして、シトラスの優しい香りに包まれる。
袖口が私の手よりもだいぶ長くて、すっぽり手が隠れてしまうのがなんだか照れくさい。

(氷室くんの匂いがする……。着てるだけで、抱きしめられてるみたい……って、私何考えてるの!?は、恥ずかしい…)

「ねえねえ緋奈〜、それってもしかして……」

「あ! 葵、ゆい!」

休み時間になった途端、葵とゆいがニヤニヤとした笑みを浮かべて私の席を囲んだ。
葵が目ざとく私のカーディガンの袖を指差す。

「それ、男子用だよね〜? サイズぜんぜん合ってないよぉ〜?」

「うっ……これは、その……氷室くんが寒そうだからって貸してくれて……!」

「へぇ〜? あの氷室くんが自分のカーディガンをねぇ?」

ゆいがクスクスと笑いながら、氷室くんの席の方へ視線を向ける。
斜め前の席で結城くんと話している氷室くんは、チラチラとこちらを気にしながら、耳の先端を真っ赤にしていた。

「見てみなよ緋奈、氷室くんめちゃくちゃこっち警戒してるよ笑」

「本当だ、『俺の緋奈に手ぇ出すな』みたいな顔してる〜!」

「ちょっと葵! 声が大きいよ……っ!」