クールな氷の王子は無自覚地味子を独占したい

いつもの通学路を歩いていると、少し先に背の高い人影が見えた。
凛とした立ち姿、綺麗な黒髪。氷室くんだ。

(ひ、氷室くん……っ!)

心臓がドックンと大きく跳ね上がり、足がすくんで止まってしまう。
昨日までの私なら「氷室くん、おはよう!」って笑顔で駆け寄れていたのに、今は数メートル後ろをついていくのが精いっぱいだった。

すると、前を歩いていた氷室くんがピタッと足を止め、ふっと後ろを振り返った。

「……いつまでそこにいる気だ」

「ひゃい!?」

変な声を上げて固まる私に、氷室くんは少し呆れたような、でもどこか照れくさそうな顔で溜め息をついた。

「……隣、来い」

「あ、うん……っ!」

言われるままにトコトコと近づき、彼の隣に並ぶ。
ふわりと漂うシトラスの香りに、昨日の後夜祭での『最高の友達なんかで終わる気サラサラねぇから』という言葉が脳内に再生されて、顔が一気に熱くなった。