クールな氷の王子は無自覚地味子を独占したい

校内放送から、綾瀬祭の終わりと後夜祭の開始を告げるアナウンスが流れる。
グラウンドからは楽しげな音楽と歓声が聞こえてくるが、私と冴くんは混雑を避けて、静かな校舎の屋上へと続く階段の踊り場にいた。

大きな窓からは、夕暮れから夜へと移り変わるグラウンドのグラデーションと、打ち上げ花火の準備をする光が見える。

「……下、行かなくていいのか。なんだっけ名前…葵たちと後夜祭まわるんだろ」

窓枠に肘をついた氷室くんが、静かに尋ねてきた。

「うん。葵たちとは昼間いっぱい遊んだから。……今は、氷室くんと一緒にいたい」

私の言葉に、氷室くんは息を飲み、驚いたように目を見開いた。
夕闇の中で、彼の耳がまた真っ赤に染まっていくのがわかる。

ドーン、と重低音が響き、夜空に大きな大輪の金色の花火が打ち上がった。
色鮮やかな光が、氷室くんの整った横顔と、真剣な瞳を美しく照らし出す。

「一ノ瀬」

「……え?」

「俺は……お前の『最高の友達』なんかで終わる気、サラサラねぇから」

花火の音に消されそうなほど低い、でもまっすぐな声。
氷室くんの青みがかった瞳が私を強く捉えて、逃がしてくれない。