クールな氷の王子は無自覚地味子を独占したい

ベビーカステラを分け合ったあと、私たちは校舎内の展示を回ることにした。

「氷室くん、次は美術部の作品展見に行かない? すごい絵がいっぱいあるんだって!」

「……お前が行きたいなら、どこでもいい」

素っ気なく言いながらも、人混みの中で私がはぐれないように、氷室くんは常に少し前を歩いて人波を押し分けてくれる。
その背中を追いかけているだけで、胸の奥がじんわりと温かくなった。

「うわぁ……すごい綺麗……」

美術部の教室に入ると、鮮やかな絵画が並んでいた。
夕暮れの街並みを描いた大きなキャンバスの前で、私は思わず足を止めて見入ってしまう。

「綺麗な絵だね、氷室くん」

「……あぁ」

氷室くんは絵を見るフリをしながら、チラリと横目で私の顔を見ていた。
「なんだよ」と照れくさそうに目を逸らす彼の横顔に、心臓がトクンと小さく跳ねる。