クールな氷の王子は無自覚地味子を独占したい

そして数時間後、放課後を告げるチャイムが響き渡った。

「本当なら今日もみんなで寄り道して帰りたかったけど……緋奈、今日は打ち合わせだもんね。残念〜」

「ごめんね二人とも……! 今度絶対また遊びに行こうね!」

「うん! じゃあ私たち先に帰るね、体育祭の打ち合わせ頑張って!」

二人と手を振って別れると、教室の人がどんどんまばらになっていく。

『体育祭実行委員は放課後、生徒会室横の会議室に集合』

先生からの指示を思い出して、私はぎゅっとカバンの紐を握りしめた。

(はぁ……胃が痛い。氷室くん、もう先に行ってるのかな……)

意を決して席を立ち、静まり返った廊下を歩いて会議室へと向かう。

ドアの前に立つと、中から話し声は聞こえてこない。

(ひょっとして……誰もいない……?)

ドキドキと跳ねる胸を押さえながら、私は「し、失礼します……」と小さく声をかけて、ゆっくりとドアを開けた。

キーッ、と静かな部屋にドアの開く音が響く。

夕日が差し込む静かな会議室の窓際で、パイプ椅子に深く腰かけ、つまらなさそうにスマホを眺めている長身の影があった。

漆黒の髪に、青みがかった冷徹で美しい瞳。

「……遅い」

低く冷たい声が響き、氷室冴くんがゆっくりとこちらを振り返った――。