ノンデリ男の敗北  ~モテる俺が法学部女子に告白したら「私は好きではありません」と普通に振られた~

十一月に入ったある日の昼休み。
俺が凛と一緒に学食へ向かっていると、今度はサークルの知り合いたちに呼び止められた。

「あ、噂の二人だ。」

女子の一人が俺たちを見て笑った。

「本当に付き合ったんだね。」

「うん。」

俺が答える横で、凛は少し居心地が悪そうに視線をそらした。

「冬城さん、佐藤でいいの?」

「それ、どういう意味ですか。」

凛が真顔で聞き返す。

「だって、顔はいいけどノンデリじゃん。」

「それは知っています。」

「凛ちゃん、そこは否定してよ。」

「事実を否定する必要はないよね。」

周りから笑い声が上がった。
俺は納得できなかったけれど、凛も少し笑っていたから、まあいいかと思った。

「じゃあ、冬城さんは佐藤のどこがよかったの?」

そう聞かれた途端、凛の笑みが消えた。
みんなの視線が一斉に集まり、凛は困ったように俺を見上げた。

「俺も聞きたい。」

「夏樹くんまで便乗しないで。」

「だって気になるし。」

凛はしばらく黙っていた。
このまま答えないと思ったとき、小さく息をついた。

「……裏表がないところ。」

「ほかは?」

「まだ聞くの?」

「聞く。」

凛は俺を見た。
その頬が少しだけ赤くなる。

「一緒にいると、楽しいから。」

今度は、俺が黙る番だった。

「凛ちゃん!」

嬉しくなって腕を広げると、凛はすぐに一歩下がった。

「大学では抱きつかないで。」

「まだ何もしてないじゃん。」

「しようとしてたよね。」

「佐藤、完全に尻に敷かれてるじゃん。」

また笑われたけれど、今度は何を言われても気にならなかった。
一緒にいると楽しい。
その言葉だけで、しばらく生きていける気がした。