十一月上旬。
凛と付き合い始めてから、一か月以上が過ぎた。
休日はほとんど毎週デートをして、講義の時間が合えば平日も一緒に昼飯を食べた。
付き合う前より会う回数は増えたはずなのに、会えば会うほど、もっと会いたくなる。
それから、俺たちは大学ですっかり有名なカップルになっていた。
原因は分かっている。
十月上旬の昼休み。人の多い中庭で、俺が凛を抱き上げて、大好きだと叫んだからだ。
その翌日、講義室に入った途端、同じ経済学部の男子に囲まれた。
「佐藤、冬城さんと付き合ったってマジ?」
「マジ。」
「お前、告白して振られてなかった?」
「振られたけど、今は付き合ってる。」
そう答えると、別のやつが身を乗り出してきた。
「中庭で抱き上げて、大好きって叫んだって話もマジ?」
「それもマジ。」
「なんでちょっと得意げなんだよ。」
後ろの席に座っていた田中が呆れた声を出した。
「普通、そこは反省するところだろ。」
「凛ちゃんには怒られたよ。」
「冬城さんにじゃなくて、周りの人間に反省しろ。昼休みの中庭だぞ。」
でも、凛と付き合っているとみんなに知られること自体は、全然嫌ではなかった。
むしろ、もう誰も凛を狙わないだろうと思うと安心した。
それから一か月近くたっても、その話題は消えなかった。



