もしも私によめいがあったら

誰が何を言ったのか分かっていても、どうすることもできない。

それでも学校には行かなきゃいけない。

朝起きて。

制服を着て。

教室に行って。

何もなかったみたいに一日を過ごす。

私だったら、そんな毎日を続けられるのかな。

……なんてことを考えるようになったのは、ずっと後のことだ。

その頃の私は、そんなことを考えもしなかった。

あいが一人でいることにも慣れていた。

噂を聞くことにも慣れていた。

茉莉と一緒に笑うことにも慣れていた。

だから、それが間違っているなんて思わなかった。

むしろ私は、自分は何もしていないと思っていた。

悪口を言っているわけじゃない。

あいに何かしたわけでもない。

ただ話を聞いていただけ。

ただ、信じていただけ。

――でも。

今なら分かる。

何もしないことだって、誰かを一人にしてしまうことがある。

*

そんな一年生の時間は、あっという間に過ぎていった。

私は茉莉と一緒に笑って。

部活をして。

学校生活を送った。

あいは、みっくんやいおりと過ごす時間が増えていった。

それぞれの場所で、それぞれの一年を過ごしていた。

私はまだ、あいとほとんど話したことがなかった。

廊下ですれ違っても、目が合うことはある。

でも、それだけ。

手を振ることもない。

名前を呼ぶこともない。

まさか、その一年後。

私とあいが、一緒に遊園地を回ることになるなんて。

雨の中、二人で絶叫系のアトラクションに並ぶことになるなんて。

そして、その日をきっかけに、私たちの関係が大きく変わっていくなんて。

この頃の私は、知るはずもなかった。

ただ一つだけ。

この頃の私が、あいについて知っていると思っていたことは――

ほとんど全部、間違っていた。