もしも私によめいがあったら


そうやって何度も繰り返されるうちに、いつの間にか「みんなが知っていること」になっていく。

そして、「みんなが知っていること」になると、それを疑う人は少なくなる。

私も、その一人だった。



あいは、一年生の頃からあまり友達がいなかった。

みんな中学受験をしてこの学校に入ってきたから、周りに知っている人が少なかったのだと思う。

休み時間。

教室の中では、いくつかのグループができていた。

机をくっつけて話している人。

廊下に出ていく人。

友達のところへ遊びに行く人。

そんな中で、あいが一人でいることがあった。

私は、それを何度も見ていた。

でも、話しかけなかった。

嫌いだったわけじゃない。

ただ、特別仲良くなりたいとも思っていなかった。

それに、私の中にはもう「あいはこういう子」というイメージができていた。

今考えれば、そのイメージのほとんどは、あい自身から聞いたものじゃない。

なのに私は、それを疑わなかった。

「今日あい一人だったね」

「まあ、いつもじゃない?」

そんな会話をすることもあった。

そのときの私は、それがあいにとってどんな意味を持つのかなんて考えなかった。

ただの教室の風景。

そう思っていた。



茉莉との帰り道は、相変わらず楽しかった。

「今日さ、部活どうだった?」

「普通。めっちゃ疲れた」

「陸上って毎日走るの?」