そうやって何度も繰り返されるうちに、いつの間にか「みんなが知っていること」になっていく。
そして、「みんなが知っていること」になると、それを疑う人は少なくなる。
私も、その一人だった。
*
あいは、一年生の頃からあまり友達がいなかった。
みんな中学受験をしてこの学校に入ってきたから、周りに知っている人が少なかったのだと思う。
休み時間。
教室の中では、いくつかのグループができていた。
机をくっつけて話している人。
廊下に出ていく人。
友達のところへ遊びに行く人。
そんな中で、あいが一人でいることがあった。
私は、それを何度も見ていた。
でも、話しかけなかった。
嫌いだったわけじゃない。
ただ、特別仲良くなりたいとも思っていなかった。
それに、私の中にはもう「あいはこういう子」というイメージができていた。
今考えれば、そのイメージのほとんどは、あい自身から聞いたものじゃない。
なのに私は、それを疑わなかった。
「今日あい一人だったね」
「まあ、いつもじゃない?」
そんな会話をすることもあった。
そのときの私は、それがあいにとってどんな意味を持つのかなんて考えなかった。
ただの教室の風景。
そう思っていた。
*
茉莉との帰り道は、相変わらず楽しかった。
「今日さ、部活どうだった?」
「普通。めっちゃ疲れた」
「陸上って毎日走るの?」

