凌を愛している。 愛している。 愛している。 それだけじゃ、駄目なの? それだけじゃ、きっと駄目なんだ。 「よく考えなくても、きっとわかってくれるでしょう?」 私は何も言えなかった。 女が去ってからも凌からの着信が鳴りっぱなしだった。 しばらくすると、海が満潮に差し掛かって、私は波に撫でられていた。 涙もとっくに枯れて、朝焼けが辺りを包んだ。 携帯は波に飲まれてしまった。 帰らなくちゃ。