世界で一番わがままな君とガラスの心臓

姿が見えなくなるまで、明日はずっと愛らしく手を振り続けていた。


……そして。


おばさんの背中が角を曲がって完全に消えた、まさにその瞬間。


「ハァーーー……だっる。なんなのあのババア、人の家をお見舞いっていう名の観光地かなんかと勘違いしてんじゃないの?」


一秒前までの「天使のお姫様」が、影も形もなく消え去った。


明日は長い黒髪をバサッと後ろへ払い落とすと、ゴミでも見るような冷ややかな目で路地の先を睨みつけた。


「竹内のおばさん、ゼリー持ってきてくれたのに?」