世界で一番わがままな君とガラスの心臓

木漏れ日が揺れる木陰を歩きながら、さっき買ったスポーツドリンクのペットボトルを額に当てた。


ひんやりとした刺激が、火照った皮膚に気持ちいい。


(……走れるのに)


ふと、自分の丈夫な足元を見つめる。


日焼けして引き締まった足。どれだけ汗をかいても、深呼吸をすればすぐに戻ってくる健康な心臓。


(私はこんなにも健康で、太陽の下を思い切り走れる身体があるのに。タイムが伸びないなんて泣き言言ってる場合じゃないのに……)



脳裏に浮かぶのは、あの子の姿だ。

幼なじみの、茅野明日(かやの あかり)。


生まれつき心臓が弱くて、走るどころか、体育の授業すら見学ばかり。