一歩、一歩。ゆったりと歩いて、美咲に近づく。
見開いている美咲の虹彩は、得体の知れない動揺で振れている。
カタンと、美咲の背後からテーブルに片手をつく。
「“美咲さんを泣かせたのは、誰ですか?”」
店長代理とバイト、にしてはあまりに近すぎる体の距離。
ひくっと、美咲が喉を鳴らす。
まだ理由がわからない恐怖で表情は硬いのに、侑征の雰囲気に飲まれる目には異性を感じている絶妙な演技。
無遠慮に美咲の顎を取る。
涙の跡で、湿った感触がした。
「“俺ならそんな顔させないのに――……”」
「カット」
かかった瞬間、手を離す。
御伽蘭子もさっきまで本気で泣いていたとは思えない澄まし顔になって、「あーつかれた」と頬杖をつく。
ハジメさんが、少し渋い顔をして俺を見る。
何か指摘される。そう予感して身構えた。
「瀬名くんさ。雰囲気はいいんだけど、色と欲が足りない。
初めて執着し続けた美咲に手が届くシーンだよ?もっと抑え込んでも溢れそうな狂気感が欲しいんだよね」
「…………は、い……」
見開いている美咲の虹彩は、得体の知れない動揺で振れている。
カタンと、美咲の背後からテーブルに片手をつく。
「“美咲さんを泣かせたのは、誰ですか?”」
店長代理とバイト、にしてはあまりに近すぎる体の距離。
ひくっと、美咲が喉を鳴らす。
まだ理由がわからない恐怖で表情は硬いのに、侑征の雰囲気に飲まれる目には異性を感じている絶妙な演技。
無遠慮に美咲の顎を取る。
涙の跡で、湿った感触がした。
「“俺ならそんな顔させないのに――……”」
「カット」
かかった瞬間、手を離す。
御伽蘭子もさっきまで本気で泣いていたとは思えない澄まし顔になって、「あーつかれた」と頬杖をつく。
ハジメさんが、少し渋い顔をして俺を見る。
何か指摘される。そう予感して身構えた。
「瀬名くんさ。雰囲気はいいんだけど、色と欲が足りない。
初めて執着し続けた美咲に手が届くシーンだよ?もっと抑え込んでも溢れそうな狂気感が欲しいんだよね」
「…………は、い……」



