「そか、じゃあいい」 どこか安堵したような顔で、爽真の口元が僅かに緩む。 今度こそ、と背を向けようとしたら掴まれたままの指が突っ張った。 「……どしたの?」 伺うように爽真を見つめて、緩く指を揺すってみる。 そしたらくっと引き寄せられて、ふわりと腕の中におさまった。 「……しばらく会えなくなるから」 「しばらくって。1週間ちょいだよ?」 「充分だろ」 ずっと変わらない石鹸の匂いが、どんどん甘くなっている気がする。 乗るはずだった電車を2本遅らせて、ほんの少しだけその甘さに身を委ねた。