「ごめんな。俺の情操教育が行き届かないばっかりに……!本当に申し訳ない!」
がっちり爽真の肩を掴んで、真面目に謝罪し始める。
爽真が横を向かされたせいで私に背を向ける形になって、その表情が見えなくなった。
「若いのに仕事人間で、まともな恋愛経験を積んでこなかったんです。こちらでよく言い聞かせますから、許してやってください」
その背後にいる御手洗も、メガネを指で押し上げながらいつになく真剣な顔でそう言った。
「……いえ、俺は別に……」
「なんなの!?私何もしてないんだけど!?」
引き気味の爽真の肩の後ろに顔を覗かせながら、眉を吊り上げて憤慨する。
「馬鹿野郎!健全な高校生男子が、会うだけで満足なんてするわけねーだろ!」
「なっ……」
思いもよらない攻撃に、一瞬怯む。
けれど戦闘モードになっている私に、言い返さない選択肢はない。
「そ……っ、爽真はそんなことないもん!
ねっ!?爽真!」
グイッと後ろから爽真の肩を引っ張って、社長の手から爽真を取り返す。
その勢いで私に肩をぶつけた爽真の顔は、なんとも言えない苦い表情をしていた。
「……。……あー…………」
(うんって言ってくれない!!!)
ガーンと落雷レベルの衝撃。
爽真と私の間に、明確な認識差があることを突きつけられた。
「ほら見ろ!お前の配慮不足だぞ、瑠奈!
彼氏の本音もわからねーなんて、彼女としてどうなんだろうなぁ」
「いえ、別にそこまでは……」
ショックを受けている私には、社長の煽りも爽真のフォローも届かない。
私はたまに会って話せるだけで満足してたのに、爽真は違った?
また私は、爽真に我慢を強いていたの?



