「しょうがないじゃないですか。私も爽真も実家暮らし。
アオバケは私と爽真の不仲説でヤラセ疑惑を回避した以上、この関係は絶対外に漏らせない。
よって、外で会うのは論外。高校生じゃ個室も取れない。じゃあどこで会いますか?ここしかないですよねぇ?」
モールス信号のごとく息継ぎなしで理詰めする私に、社長が面倒臭そうに耳を塞ぐ。
御手洗がそっと爽真の背後に立って、申し訳なさげに肩を叩く。
爽真ももうこの雰囲気に慣れてきたのか、全く動じずに小さく首を折って会釈した。
ふと、社長が何かに気づいてハッとした顔をする。
静かに競馬新聞を置いて、恐る恐る身を乗り出した。
「……つーかお前ら……まさかとは思うが、ここで会う以外に会ってないとか言わねえよなぁ?」
「会ってないですけど。言いましたよね?ここしか会う場所がないって」
バーンと効果音がしそうなほど堂々と言ってのけた私に、社長と御手洗に衝撃が走る。
フンと鼻を鳴らす私の横で、爽真は静かに無表情を貫いていた。
「お前……家で会うとか」
「だから言ったでしょう?実家。
行けるわけないじゃないですか」
「夜の公園……」
「そ・と!ダメに決まってるでしょ!」
何を聞いていたんだ、このたぬき親父は!
爽真を見る社長の目に、みるみる憐みが浮かんでいく。
爽真が気まずく目を逸らすと、すぐさま社長椅子から立ち上がって爽真に迫った。



