「はー……笑った笑った。爽真、これどこに置くの?
あ。一緒に寝たりする?枕元に置いてきてあげよっか」
ラッコを抱えたまま迷いなく寝室に足を向けると、爽真が即座に現実に引き戻される。
「ちょ、ストップ」
焦った顔した爽真に、反射的に二の腕を掴まれた。
「……どしたの?」
「や……、そいつはそっちじゃない」
「なにそれ。住処決まってるの?」
「……そうでもなくて」
「ハッキリしないなぁ」
目も合わないのに腕だけは掴んだままの爽真が、ものすごく気まずそうだからちょっと揶揄いたくなってくる。
くるっと勢いよく爽真に振り返って腕を振り解くと、自分の顔の前にラッコを掲げて、その腕をぴょこぴょこ動かした。
「ご主人様ぁ、ボクと一緒に寝なくていーのぉ?」
“瑠奈”時代のお砂糖ボイスを潰したような声色でアテレコして、ひょこ、とラッコ越しに顔を覗かせる。
爽真の顔が完全に固まって無になって、それがまた面白くて「ねーぇ」とお砂糖ボイスで追撃した。
「……」
爽真の無表情に、ちょっとだけ不機嫌が混じる。
やばいかも、と思った時にはひょいとラッコを取り上げられた。
「爽真くん?ごめんね?顔怖いよー?」
怒ってる割に丁重に箱に戻されるラッコ。
爽真の顔は無のままで、今度は私が焦りながら苦笑いする。
引け腰になった瞬間、捕まる手首。
くん、と引っ張られて爽真の胸に飛び込んだと思ったら――そのまま唇を塞がれた。



