――……
「そういえば、荷解き。手伝うことある?」
少ししてなんとなく緊張も解けてくると、リビングの端に積んであった段ボールに手をかける。
「あー…、じゃあ、棚の中身……」
言いながら爽真が封をしてない1番上のダンボールを抱えて床に降ろす。
すると、わずかに空いた蓋の中に毛むくじゃらの物体が見えた。
「なにこれ?」
気になって蓋を全開にする。
覗き込んだ中には、くたんと寝そべる茶色いラッコのぬいぐるみ。
「あー、これ!」
蘇った記憶に声を上げると、爽真が少しバツが悪そうな顔をした。
「美玲とのデートの水族館で爽真が当てたラッコだっ」
「なんで知ってんだよ」
ラッコの脇下に手を入れて、両手でそいつを抱え上げる。
段ボール一つ占領してただけある大きさと、ちょっと脱力するつぶらな瞳。
たらんと垂れる太いしっぽが、ちょっとリアルで太々しい。
「彩加が爆笑しながら言ってた。あの時は頭頂部しか見なかったから。
うわぁ、こんなでっかかったんだ」
高い高いしながらはしゃぐ私を、爽真はげんなりしながら見ている。
ぬいぐるみを連れてきてたことがバレたのが、恥ずかしいんだろうか?
「あはっ。こんな可愛いぬいぐるみ、爽真が持ってるの全然似合わない!イメージなさ過ぎっ」
もう可笑しくて可笑しくて、遠慮なくけらけらと笑う。
「――……」
爽真はそんな私に何か思い出を重ねたようにハッとして、少しじんときているように細めた目を伏せた。



