【続編】ふたりの恋のそだてかた。

そんなに間も置かずに、大きくドアが開いてこようとする。

「待った!」

それに反発するようにこちら側のドア板を押して、バタンとドアを閉め切った。

ドアの向こうから困惑の気配を感じながら、こっちからドアノブを下げて細くドアを開け中を覗く。


「そんな大っぴらに出迎えちゃダメでしょ。リスク管理、ちゃんとしてっ」


ム、と顔を顰めながら説教と共に入室すると、爽真がクッと困ったように笑って肩を竦めた。

「誰も見てないだろ」
「そんなのわかんないでしょ!」

「……。それより、髪。似合ってる」
「へ?」

不意打ちくらった私より、言った爽真が唇をへの字に結んで照れている。

「切ったよって写真送った時は、“へー”しか言わなかったじゃん!」
「うるさい。だからなんだよ」

お邪魔しますより先に、くだらない小競り合いをしながら中に入る。
玄関を開けてすぐ短い廊下を挟んでリビングに繋がるところは、レンタルスペースとちょっと変わらないな、なんて思った。


リビングに入った後もびっくり。

(広っっっ)

間取り図見てたから知ってたけど。20畳。
明らかに1人暮らしサイズじゃない広さ。

「何してんの、もっと中入れば」
「え?ああ……うん……」


(大手事務所のサポート、手厚過ぎる……
ウチにはない甲斐性だ)


大きな家具はすでに大まかに配置されていて、それでもまだダンボールはいくつか積み上がっている。

まだ引っ越して数日だもんね。
生活の匂いがまだしない。

唯一痕跡が見えたのは、半開きのスライドドアの先から覗くベッドの乱れくらいだ。

「そういえば家具、ほとんど揃ったんだね。ソファもいい感じ。でもインテリア、だいぶそこに引っ張られちゃったね」

最初に決めた家具がそれだったから。

カーテンもダイニングテーブルも、棚も、ローテーブルも、ラグも。
ソファの落ち着いたブルーの色調に合わせて、ダークブラウンとブルーと差し色のグレーでまとまったインテリアになった。

「いいんじゃない。俺は結構気に入ってる」

「ならいいけど。何というかこう、まとまり過ぎててちょっと女の影見えない?大丈夫?」

「なんだそれ。別にいいだろ」