「……それ、褒めてんの?」
「もちろん。存在感があって人目を引く。
前から言ってるけど、ちゃんと演技やったら絶対映えるのに」
爽真の表情がぴたりと止まる。
ちょっと複雑そうな顔。
「……俺は演技向きじゃない。そういうオファーもないし」
「えー。じゃあオーディション受けるとか。
あ、でもモデル業の方が楽しい?それなら無理強いしないけど」
爽真の目がきょと、として、またふっと無に戻る。
「楽しいとかは別に……仕事だし。
瑠奈とは感覚違うんだろうけど」
今度は私がきょとん。
「そうなの?楽しんでるから、仕事一本にするんだと思ってた」
「進学しないのは早く自立したいからで――……
そのための手段が、たまたまこれだっただけ」
爽真が何か含むようにちら、と私を見る。
首を傾げると、その目はまた前を向く。
「へぇ、なんか大人。
私はまだ目の前で精一杯だよ」
「瑠奈はそれでいいだろ。
――で、話が出たついでなんだけど」
「ん?」
爽真の視線がもう一度私に戻ってくる。
今度は体ごと。やけに緊張して真剣な顔だ。
「そろそろ一人暮らし、しようかと思ってる」



