【続編】ふたりの恋のそだてかた。


「あー、降ってきたね」

ポツポツと窓ガラスを叩く雨音に、機械的にワイパーが動く音が混じる。
光が滲み出す夜景に、虚しさを煽られた気がした。

「……じゃ、今日はしっかり休んで。
明日は午後から仕事あるから。お疲れ」

「お疲れ様でした」

マンションの前で下ろしてもらうと、三木さんはすぐに去っていく。
すぐそこのエントランスまで、雨が打ちつけてくるけど走る気も起きない。

だらだらと廊下を歩いて、時間をかけて部屋の前に辿り着く。


鍵を開けて中に入った時――正面のリビングのドアからオレンジ色の灯りが漏れているのに気づいた。


(……消し忘れ?いや、でもあれダウンライトだよな。
つけた覚えない……)


暗い足元に、何かが引っ掛かる。
目を凝らしてみれば、ころ、と転がる黒いスニーカー。


……瑠奈のだ。


(は、なんで……)

驚いているのに、胸は逸る。
思わず掛け忘れそうになった錠をかけて、雑に靴を脱いで一直線にリビングに向かう。

ドアを開ければ、ぼんやりとした橙色の灯りが部屋を照らしている。
誰もいないかのような静けさに、小さくて深い呼吸音がかすかに聞こえた。