――……
「ケーキ?」
手洗いを済ませてやっとソファに座ると、爽真が冷蔵庫から白い小箱を出して渡してくる。
爽真も右隣に座って、膝に腕をついて下から私を覗いた。
「誕生日だし、もっとちゃんとと思ったけど時間も遅いし。小さいの一個なら、いいかと思って」
開けると、手のひらに乗るくらいの大きさの円柱型のショートケーキが出てきた。
飾りもなく、平らに塗ったクリームに半分に切ったイチゴが乗ってるだけの大人っぽいケーキ。
それでいて、ちょっと高そうではある。
「買ってきたの?」
「そう」
「仕事の合間に?」
「うん」
「……一個いくら?」
「そういうこと聞くな」
爽真の眉がちょっと寄る。
「ふふ」と笑って誤魔化して、「ありがとう」とプラスチックのフォークをケーキに差し入れた。
小さく切って、ぱく、と一口。
甘さ控えめ。上品で、……やっぱり高そうな味がする。
だからしおらしくなってしまって、黙々と食べる私の横顔を爽真もずっと黙って見ている。
「……。爽真もいる?」
「いらない。瑠奈が全部食べな」
「まぁそう言わず。一口。あーん」
「子どもみたいなことするな」
ケーキを刺したフォークを爽真の眼前に差し出すと、プイッと顔を背けられる。
それはそれで面白くなくて、爽真の口に無理矢理押し付けようとする私と、その手を押さえて防ぐ爽真の攻防が続く。
「強情だねぇ、爽真くん。大人しくあーんされなって」
「そう言われると余計に無理」



