三木さんが言う通り、今日は特に成果が出た。
自分でも、ちゃんと演じた感覚がある。
ただ、そのために持ち出した感情は紛れもなく自分自身のもの。
だから全てが終わった今、燃え尽きたみたいに疲れているし――自分が怖くなってもいる。
御伽蘭子に荒っぽく触れた手の感触が抜けなくて、その手を見下ろして胸が痛む。
あの時確かに覚えてしまった、自己解放感。
演技という免罪符を借りて自分の本音を出したことに、ある種の清々しさすら感じてしまって。
カットがかかった後――
瑠奈にもいつか同じように身勝手な欲をぶつけてしまうんじゃないかと、怖くなった。
だからつい確かめるみたいに連絡してしまったけど、今はそれすらもできない。
瑠奈の声を聞いたら余計に罪悪感に駆られてダメだった。
眠らない都会の街並みを、ぼんやりと眺める。
……次、会えるのはいつだっけ。
会っていいのかもわからなくなってきたけど。



