【続編】ふたりの恋のそだてかた。

スッと感情が冷えて、視界から色が消えたみたいになる。


「侑征の気持ち、理解した?」
そんな御伽蘭子の問いが、頭の奥にぼんやりと響いた。


「イケそうでぇす。おねがいしまーす」


言うなり、御伽蘭子は美咲の顔に即座に戻る。
カン、と撮影開始の音がして、流れをなぞるように頭の中で台本が進んでいった。


「“俺は本気でしたよ”」


必死に掴んだ細い腕に、指が沈む。



“行かないでほしい”
“なかったことにしないでほしい”


そんな要求だらけで、優しくする余裕なんてない。



「“せっかく手に入れたのに――美咲さんを誰にも渡したくない。俺以外見えないように、めちゃくちゃにしたい”」


頭も口も台本をなぞるのに、心はずっと自分自身。


言葉の端々は少し違うけど、“誰にも渡せない” “自分だけ見ていてほしい”

――瑠奈を重ねながらそう口にしたのが、自分の小ささを痛感するくせに少し楽になっていたりもして。


ずっと沈めていた感情を、撹拌して、表出させる気持ちよさ。
御伽蘭子が言っていた“ハマる”の意味が、ほんの少しだけ――わかってしまった気がする。


「“今夜は帰しません。絶対に”」