「あ。映画の公式SNS、チェックしてる?
成宮紫苑の知名度も合わさって、いい飛躍のチャンスになりそうだよねぇ」
パッと不意打ちで、御伽蘭子が俺にスマホの画面を向けてくる。
“映画【水色の僕と君】公式アカウント”
と銘打ったトップページ。
そこに並ぶ、制服姿のキャスト達の裏側ショット。
(……笑ってる)
紫苑と肩を並べて、楽しそうに。
どこかの学校の校舎、中庭、撮影スタジオ、ロケ地側らしいどこかの街並み。
俺とは絶対に歩かない日向を、紫苑とは当たり前のように過ごしている。
アオバケの頃みたいな、焦燥。
あの頃と違って間違いなく瑠奈の気持ちは俺にあると知ってるのに、途方もなく遠く感じる喪失感。
視線が虚になったのを見て、御伽蘭子が含んだように口元に弧を描く。
「この後の撮影、楽しみだね?瀬名くん」
スマホを下げてすぐ耳元で囁いて、崩れた化粧とヘアメイクを直しにどこかへ行ってしまった。



