SIDE:瀬名爽真
7月12日。20:00。
【夜が明けるまで帰らない】撮影スタジオにて。
待機用のパイプ椅子に座って、台本をさらう。
ふと、ポケットに入れたままだったスマホが震えて台本を持ち替えてそれを取り出した。
“Ru:いまおわった。”
“Ru:今日の二話もリアタイするから。また感想言うね”
――瑠奈だ。
宛名が“Ru”なのは、隠せって言われたから。
本当は全然違う名前にしろって言われたけど、それは嫌だし。折衷案。
返信不要の、業務報告が瑠奈らしい。
こっちが仕事中ってわかってるから、そういうふうにしてくれてる。
「やぁやぁ瀬名くん。お疲れぇ」
ぬるりと肩に腕を置かれて囁かれて、緩みかけた口元が引っ込む。
……撮影終わったのか。ついさっきまでセットの中にいたのに。
「……お疲れ様です」
御伽蘭子からふっと香る、ウッド系の男物の香水の匂い。
さっきまで婚約者役の荒木さんと絡む演技をしてたからか。
(……これでこの後俺との絡みも撮るんだから、ドラマ業界はえげつない)
瑠奈が今までこういう作風に参加してなくてよかった。
裏側を知れば知るだけ、複雑な気持ちになる。
――なんて思って、思考を切る。
気を抜くとすぐこうだ。また御伽蘭子に、痛いところを突かれることになるところだった。
7月12日。20:00。
【夜が明けるまで帰らない】撮影スタジオにて。
待機用のパイプ椅子に座って、台本をさらう。
ふと、ポケットに入れたままだったスマホが震えて台本を持ち替えてそれを取り出した。
“Ru:いまおわった。”
“Ru:今日の二話もリアタイするから。また感想言うね”
――瑠奈だ。
宛名が“Ru”なのは、隠せって言われたから。
本当は全然違う名前にしろって言われたけど、それは嫌だし。折衷案。
返信不要の、業務報告が瑠奈らしい。
こっちが仕事中ってわかってるから、そういうふうにしてくれてる。
「やぁやぁ瀬名くん。お疲れぇ」
ぬるりと肩に腕を置かれて囁かれて、緩みかけた口元が引っ込む。
……撮影終わったのか。ついさっきまでセットの中にいたのに。
「……お疲れ様です」
御伽蘭子からふっと香る、ウッド系の男物の香水の匂い。
さっきまで婚約者役の荒木さんと絡む演技をしてたからか。
(……これでこの後俺との絡みも撮るんだから、ドラマ業界はえげつない)
瑠奈が今までこういう作風に参加してなくてよかった。
裏側を知れば知るだけ、複雑な気持ちになる。
――なんて思って、思考を切る。
気を抜くとすぐこうだ。また御伽蘭子に、痛いところを突かれることになるところだった。



