「アドバイスとかできないんだけど」
「……それはいいの。元気になったら、ちゃんと自分で考える……」
「うん、そっか」
柔く頭に乗る手が、慰めるように優しく髪を撫でる。
ドキドキと、甘くなる胸の音に思考が溶けていく。
煮詰まっていたモヤモヤも、その瞬間だけはどうでも良くなって心が解けた。
「……爽真の作ったご飯がたべたい」
「ん、……もう少ししたら夕飯にしよ」
「……もうちょっとだけ、強く抱き締めて」
「……。この態勢でそれ言うの?」
言いながら、私を抱き締める力がくっと強くなる。
甘くて、優しくて、幸せな時間。
「等身大どころか、子どもみたいだな」
「なにそれ。バカにしてる?」
肩口に埋まる私の頭を撫でながら、揶揄うように爽真が静かに笑みを漏らす。
ちょっとムカつくけど、言い返せない。
何も飾る必要のない爽真の前でだけは、私は等身大になれる気がする。
——この実感を、演技にも持ち込めたらいいのに。



