「“……正しい人との――……” っ、すみません。台詞、間違えました」 「大丈夫。ループに陥っちゃったみたいだね」 「……すみません……」 監督の優しさが、余計に私を焦らせる。 「ここ、後日にします?」 「スケジュール調整できれば。無理なら最初のテイク使って——……」 助監督と監督の会話が耳に入って、ズキンと胸に深く刺さる。 (台詞飛ばすなんていつぶり……!?最悪……) 正しい演技がわからない。 映像作品に参加して初めて、正解がわからない壁にぶつかってしまった。