雑多に広げたメイク道具をポーチにしまうと、すくっと立ち上がる。
側に置いていたリュックを肩にかけて、控え室の出口に走った。
「瑠奈ちゃん、打ち上げ来られないなら今度――」
神崎くんの前も走り抜けようとすると、何やら話しかけられる。
でももう“次の予定”で頭がいっぱいの私に、その声は届かない。
「ではみなさん、明日もマチネからよろしくお願いします!お疲れ様でしたぁ!」
元気に走り去っていく私に、ショックを受けながら伸ばした手をそのままにする神崎くん。
隣にいたベテラン女優、真理恵さんが、憐れんでポンと彼の肩を叩く。
「諦めなよ、あの子本当に仕事一筋の変わった子だから……
前共演した時も誰かしらに口説かれてたけど、一切靡かなかったのよね」



