【続編】ふたりの恋のそだてかた。

台本にない恋が実った、1年と数ヶ月後――


「改めまして、本日はご来場誠にありがとうございましたー!」


キャパ1000席にも満たない、中規模劇場。
中世ヨーロッパ風のドレスに仰々しいウィッグを被って、同じような装いをする演者たちと繋いだ手を高らかに挙げている。

鳴り止まない拍手。
荘厳なエンドロール。

閉じていく緞帳に、毎回底知れぬ充実感を味わえるのだ。


「今日もお疲れ様!」
「瑠奈ちゃん、今日も最高の演技だったよ〜」

終わった余韻に浸りながらも、1人手早く鏡の前で舞台メイクを落とす私に共演者さんたちが話しかけてくる。

「ありがとうございます!今日はお客さんの反応が特に良かったので、頑張れました!
サプライズで誕生日まで祝ってくださって、ありがとうございました」


――香月 瑠奈(こうづき るな)
今日で18歳。ラスト・女子高生。


職業は、女優だ。



「この後打ち上げ、行くよね?神崎くんも瑠奈ちゃん来るかなってソワソワしてたよ〜?」

ベテラン舞台俳優・八代(やしろ)さんが王子みたいな白タイツにかぼちゃパンツを身につけたまま、にやにやして私の後ろ姿に耳打ちしてくる。

神崎くんとは、この舞台の共演者。
さらに言えば、恋仲を演じた相手役だ。


「……うわぁ、ごめんなさい!
私、今日この後お仕事があって。残念なんですけど、不参加で」


言い終わるが早いか、舞台メイクを綺麗に落とした顔に今度は淡い普段のメイクを乗せていく。

「えー」とかわいこぶって拗ねるおじさんを鏡面に映しながら、着々と支度を済ませた。