「俺のパブリックイメージで取った役だからね。
大きく変えなくても成り立つの」
声の大きさを一段落としてそう言った紫苑は、どこかうんざりしたように答える。
これが紫苑の言ってた“売り方の限界”か、と朝倉湊を見たら妙に腑に落ちた。
「ま。今日のところは綺麗に撮ってもらうけどね。
朝倉湊の表層は、やっぱり親しみやすい性格の良さと無邪気な明るさだから」
言ってるうちに、先に紫苑が撮影に呼び出される。
淡い色の背景紙の前で慣れた仕草で笑う紫苑は、シャッターの合間に「イメージぴったり」と褒めそやされてどんな気持ちでいるのだろう。
まだ何者でもない私には、想像もつかなかった。
――……
ティザー撮影、次はいよいよ私の番。
前回は台詞回しで琴乃になったけど、今度は外見で琴乃を作らないといけない。
「よろしくお願いします」
照明が煌々と光るカメラの前で、姿勢を正して一礼する。
前回台詞で殴った分、私への期待値は相当高まっているはず。
でも大丈夫。私的にはこっちが本領。
舞台で培ったものを、存分に活かせるから。



