夢では幸せになりましょう

一年間、忘れようとしていた人。

別の誰かを好きになろうとしても、どうしても好きになれなかった人。

一緒に買ったものを捨てられなかった人。

写真を消せなかった人。

もう二度と会えないと思っていた人。

その人が今、私の隣にいる。

「……遅いよ」

私は小さく言った。

「何が?」

「一年もいなくなるなんて」

彼は黙って私を見た。

「ごめん」

その一言だけだった。

私は少し考えてから、頷いた。

「もういい」

「本当に?」

「うん。でも、次は何も言わずに消えないで」

「わかった」

「約束?」

「約束」

それから私たちは、ゆっくり関係を作り直した。

昔みたいに、ただ会うだけの関係ではなくなった。

仕事のことも、将来のことも話すようになった。

彼は相変わらず素直じゃなかった。

「会いたい」とはあまり言わない。

でも、気づけば会いに来ている。

「好き」ともあまり言わない。

でも、会えば自然と手を握ってくる。

昔は、私だけが彼の気持ちを考えていた。

私だけが、この人は私をどう思っているんだろうと悩んでいた。

でも今は違った。

彼のほうから、少しずつ未来の話をするようになった。