夢では幸せになりましょう

しばらくして、私はもらった包みを膝の上で見た。

「開けていい?」

「うん」

私は包みを開けた。

中に入っていたものを見て、思わず笑った。

「可愛い」

本当に、私が好きそうなものだった。

「ありがとう」

そう言って、ふと包み紙を見た。

端っこに、何か文字が書いてある。

最初はよく見えなかった。

私は包み紙を広げた。

そこには、小さな文字で書かれていた。

――俺、結婚したいんだよなぁ。

私は、一瞬固まった。

そして彼を見る。

「……これ、どういう意味?」

彼は運転しながら、ちらっとこちらを見た。

「そのまんま」

私は、思わず聞き返した。

「じゃあ……私と結婚してくれるってこと?」

自分でも驚くくらい、自然に出た言葉だった。

彼は少し黙った。

それから、前を向いたまま言った。

「……そういうこと」

「え?」

「だから、そういうこと」

胸の奥が、一気に熱くなった。

嬉しかった。

でも、私は笑いながら言った。

「でもさ、あなたが『俺と結婚してください』とか言うと思えないんだけど」

彼も少し笑った。

「言うわけないだろ」

「やっぱり?」

「俺がそんなこと言うと思うか?」

「思わない」

二人で笑った。

でも、そのあと彼は少しだけ真面目な声になった。

「ただ……結婚したいんだよなぁ」

今度は、彼自身の口から聞いた。

「ちゃんと家に帰る場所があって」

「うん」

「隣にいる人がいて」

彼は少し間を置いた。

「そういうの、いいなって思って」

私は黙って彼を見た。

彼は「俺と結婚してください」とは言わない。

たぶん、これからも言わない。

でも、彼なりに結婚したい気持ちを伝えている。

そして、その相手が私なのだと。

私は、そう受け取った。

「私となら、そうなりたいってこと?」

彼は少し照れたように笑った。

「……そういうこと」

私は嬉しくて仕方がなかった。

でも、ふと現実的な不安が浮かんだ。

「……借金とかじゃないよね?」

「は?」

「お金目的じゃないよね?」

彼は呆れたように笑った。

「違うに決まってるだろ」

私は笑った。