夢では幸せになりましょう

数日後。

私は待ち合わせ場所に向かった。

ただ、ご飯を食べるだけ。

久しぶりに会うだけ。

そう思っていた。

遠くから彼の姿が見えた。

その瞬間、わかった。

やっぱり好きだった。

忘れたつもりになっていただけだった。

「久しぶり」

彼は昔と変わらない顔で笑った。

「久しぶり」

「なんか変わった?」

「そっちこそ」

そんな、どうでもいい会話から始まった。

一年ぶりなのに、不思議なくらい自然だった。

一緒に歩いていると、昔みたいに距離が近くなった。

くだらないことで笑った。

彼が私の横を歩く。

その距離感も、昔と同じだった。

それなのに、私はふと思った。

この人は、きっと誰に対してもこうなんだろうな。

人との距離が近い。

相手を安心させるのが上手い。

まるでその瞬間だけは、その人が世界で一番大切みたいに接する。

でも、次の瞬間には、何事もなかったように離れていける。

そんなところが、昔から少し怖かった。

それでも私は、彼と一緒にいることが嬉しかった。

しばらく歩いて、お土産屋さんに入った。

棚を眺めていると、私は小さな雑貨を手に取った。

「これ、可愛い」

彼が覗き込んだ。

「そういうの好きだよね」

「何?」

「センスいいなって思って」

その言葉が嬉しかった。

一年経っても、私の好みを覚えている。

それだけで、胸がいっぱいになった。

しばらくして、彼が別のものを手に取った。

「これ、あげる」

「え?」

「いいから」

「何で?」

「なんとなく」

彼はそれを買って、紙に包んでもらった。

私は笑って受け取った。

「ありがとう」

「うん」

店を出たあと、彼が言った。

「車、こっち」

「車?」

「送るよ」

「いいよ、大丈夫」

「いいから」

昔と同じ、少しぶっきらぼうな言い方だった。

私は少し笑って、

「じゃあ、お願い」

と言った。

二人で駐車場へ向かった。

車に着くと、彼が鍵を開ける。

私は自然に助手席に乗った。

ドアを閉めた瞬間、不思議な感覚になった。

一年ぶりなのに。

この助手席に座ることが、昔と同じように感じた。

彼が運転席に乗り込んで、エンジンをかけた。

しばらく二人とも何も話さなかった。

でも、気まずくはなかった。

むしろ、昔の空気が少しずつ戻ってくるようだった。