夢では幸せになりましょう

ただ、私たちは恋人ではなかった。

いわゆる、セフレだった。

だから私は、自分の気持ちを口にできなかった。

「好き」と言ったら、何かが変わってしまいそうだった。

今の関係が壊れるのが怖かった。

だから、何も言わなかった。

彼は、私に会うために片道一時間もかけてくる。

毎日のようにLINEをくれる。

会えばずっとそばにいる。

それだけで、十分だと思っていた。

でも、彼には少し不思議なところがあった。

あんなに私に会いたがるのに、どこか人に対する執着が薄かった。

距離を縮めるのが上手で、誰にでも自然に優しくできる。

相手が自分をどう思っているかなんて、あまり気にしていないようにも見えた。

私にだけ特別なことをしているように見えるのに、もしかしたら、相手が私じゃなくても同じようにできる人なのかもしれない。

そんなふうに思ってしまう瞬間があった。

少し怖いくらい、人に対して淡々としていた。

なのに私といるときは、まるでずっと前から私しか見ていないみたいに笑う。

そのギャップが、私は好きだったのかもしれない。