魔法がなくても



「……というと?」

「ワガハイ、ソラソラとは別の匂いがしてならんのにゃ」


別の匂い?
宙くんみたいに人じゃない、とか何かひっかかる要素がある、ということだろうか。

けれど、妙に理事長の顔つきがしんこくそうで……その匂いとやらはもしかして悪い意味なのか、そう聞こうとするも

くんくん、と理事長は鼻を動かし静かに姿を消した。



「やあ」

「……あ」

「隣、いいかな」


話していた矢先に、優利くんがやって来た。


「どうぞ」


少しはしに寄って、優利くんを座らせれば、視線は私より下……手もとの本へと向けられる。


「ランクSでも君は真面目なんだね」

「ただの絵本だよ。たまに読みたくなって……」


もう帰っていてもおかしくない時間なのに、どうして優秀くんはまだ学園にいるのだろう。
たずねてみてもいいけれど、私はさっき考えていたことを聞いてみることにした。